「死ぬ前も、死んでからも、生まれ変わっても――愛してる」
あらすじ
「死ぬ前も、死んでからも、生まれ変わっても――愛してる」
最愛の恋人・貴弘を突然の事故で失って五年。墓参りの帰り道、莉菜は足を滑らせ、増水した川へと転落する。絶望が胸を締めつけたその瞬間、誰かの手が彼女を救い上げた。莉菜は息を呑む。――そこにいたのは、亡くなったはずの貴弘だった。しかし、彼は静かに名乗る。「オレは、ルスト。侯爵家の長子だ」顔も、声も、瞳さえも貴弘と同じ青年に導かれ、莉菜は異世界で新たな生活を始めることに。「オレの腕の中で。好きなだけ泣いて」彼は本当に貴弘なのか?それとも――。運命に導かれ、再び巡り会った二人が紡ぐ、切なくも愛おしい異世界ラブストーリー。
作品情報
作:姫沙羅
絵:まりきち
デザイン:RIRI Design Works
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5/2(金)ピッコマ様にて先行配信開始!(一部ストア様にて予約受付中!)
本文お試し読み
プロローグ
「莉菜《りな》……」
「ん……っ」
旅行先のベッドの上。少しだけ息の上がった掠れた声で名前を呼ばれ、莉菜はふるりと身体を震わせた。
白いシーツの海にはこげ茶色の長い髪が舞い、莉菜は涙で潤んだ大きな瞳を上げる。
「好きだよ」
目の前には、裸で抱き合う恋人の優しい微笑みがある。ほどよく筋肉のついたバランスの良い身体は、とてもあたたかくて安心する。
「……貴《たか》、弘《ひろ》……っ」
付き合い始めて一カ月。互いに初めての恋人で、これが初めての行為だった。
一緒にお風呂に入るところから始まって、長く甘いキスを何度もして。ゆっくりと身体を開いていく丁寧すぎるほどの貴弘の愛撫は、莉菜の心も身体も熱く甘く蕩けさせてくれるものだった。
「わたしも……っ」
大好きな恋人――貴弘の背中へ手を伸ばし、莉菜も自分の想いを口にする。
「わたしも、貴弘が好き……っ」
「莉菜……」
目の前の身体にぎゅっと抱きつけば、嬉しそうに笑った貴弘がゆっくりと顔を寄せてくる。
「……ん……」
優しく唇が重なって、じんわりとした多幸感に満たされる。
この人以外いないと思えるほど好きになった人と、こんなふうに愛し合えること以上の幸せがあるだろうか。
「んっ、ん……っ」
柔らかなキスはそっと啄むようなものになって、最後にちゅ……っ、と小さなリップ音を立てて離れていく。
「莉菜……」
どこか切羽詰まった吐息を零した貴弘が、熱っぽい視線で莉菜を見下ろしてきて。
「……挿《い》れていい?」
「ん……っ」
愛おし気な声色で。それでいて瞳の奥には隠し切れない欲を覗かせて問いかけられ、莉菜の華奢な肩はぴくりと揺れた。
「ぅ、ん……」
「優しくするから……。辛かったら言ってね」
「ん……」
羞恥で熱くなった顔で小さく頷けば、どこまでも優しい動きで頬を撫でられ、ドキドキと高鳴る緊張が少しだけ解けた気がした。
けれど。
避妊具を付ける気配があって、大きく開かされた脚の間に熱い存在を感じた時。
「あ……!」
覚悟を決めていたとはいえ、思わず身体を強張らせてしまった莉菜へ、貴弘の顔には優しいながらも切なげな微笑みが浮かんだ。
「怖い?」
蜜壺の入口に先端を押し当てたままそれ以上進もうとはしない貴弘の優しさに、莉菜は少しの間があってから首を緩く左右に振る。
「……だい、じょうぶ……っ」
初めての行為は痛いのだと、友人たちから今まで散々聞かされてきた。彼女たちからいろいろと吹き込まれているため、経験としては未知だとしても、知識面ではなにも知らないわけではない。
痛みに対する多少の恐怖はあっても、愛する人と繋がることの幸せと、その先に待ち受ける心地よさへの期待はある。
「へいき、だから……」
続けてほしいと潤んだ瞳を上げれば、貴弘の喉がこくりと動いた。
「どうしても無理だったら言ってね?」
「うん……」
愛おし気に髪を撫でてくる貴弘の手のあたたかさに、自分が本当に大切にされているという実感が湧いてきて、莉菜の胸には喜びが広がっていく。
我慢できなくなった恋人にがっつかれ、散々な〝初めて〟だったと愚痴を溢していた友人もいたというのに。
この人を選んでよかったと。この人で間違いなかったと。ただただ幸せだけが莉菜の心を満たしていく。
「ひ、ぁ……」
熱い怒張に蜜口を押し開かれる感覚に、思わず見開いた莉菜の瞳には涙が滲んだ。
ここに来るまでに丁寧すぎるほど丁寧な愛撫を重ねられ、莉菜の秘花は愛液が溢れて蕩け切っていたというにもかかわらず、それでも異物を受け入れる感覚には違和感が拭えない。
「ぅ、ん……っ」
「痛い?」
つい肩に力が入ってしまう莉菜へ、先端部分だけを蜜壺の浅い場所に含ませたまま、貴弘は再び動きを止める。
そんな恋人の気遣いと優しさが本当に嬉しくて。
「大、丈夫……っ」
貴弘の肩にそっと手を添えると、莉菜は涙の滲む顔で微笑んでみせる。
――大丈夫。怖くない。この人になら、身も心もすべて預けられるから。
「ありがとう」
「ん……っ」
莉菜のそんな想いが伝わったのか、愛おしそうに微笑んだ貴弘が額にキスを落としてきて、もう何度目かの幸せが身体へ広がっていった。
「あっ、あ……っ、あ……」
「……く……っ」
ゆっくりと。ゆっくりと。莉菜を傷つけないよう少しずつ腰を押し進めてくる貴弘からは、なにかに耐えるかのように奥歯を噛み締める気配が伝わってくる。
「たか、ひろ……っ」
「りなっ、力抜ける……っ?」
「……ん……っ」
苦し気に尋ねられ、深い呼吸をつくと意識して肩の力を落とした。
「りな……っ」
「ん……っ」
熱い吐息を吐き出した貴弘が唇を重ねてきて、莉菜もそれに応えるようにほどよく筋肉のついた背中に手を回す。
「ん……っ、ふ……、ぁ、は……っ」
舌と舌を絡ませ合うキスは生々しいのに、感じるものは心地よさばかりで、莉菜の身体からは自然と力が抜けていく。
それでも。
「ぁ……っ、あ……」
「ごめん……!」
貴弘の切羽詰まった声とともに、硬い熱がある程度の深さまで埋め込まれた時。ぐっ、と押し込まれた熱の塊に、莉菜の身体の中心部には痛みが走り抜けていった。
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