作品情報

常識改変されたえっちな世界で、弊社の性処理当番に着任しました!?

「性処理だって!? 上等だよ、この変態野郎ッッ」

あらすじ

「性処理だって!? 上等だよ、この変態野郎ッッ」

週末の深夜、ごく普通のOL・あかりは、苦手な営業マン・松下と武田に無理難題を押し付けられ、残業がさらに長引いていた。大好きな推しの配信も終了し、運の悪さに嫌気がさした彼女は、ふとインターネットで見つけた『異世界に行く方法』を試してみることに。その瞬間、謎の力に引き寄せられ、突然異世界に転送される!待っていたのは――性に奔放すぎる世界。しかも、あかりはその世界で「性処理班」に配属され、福利厚生が「性処理」!?訳もわからず、押し付けられた役目をこなすことになる彼女。乱れた息、半開きの唇、潤んだ目……途端、苦手な二人が、あかりの前で弱った姿をさらけ出す。「いいですよ……いっぱい出しちゃって」あらゆる意味で自由な世界で、ドSを開花させるあかりの下剋上が始まった!

作品情報

作:小達出みかん
絵:ちょめ仔
デザイン:RIRI Design Works

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1/10(月)各ストア様にて順次配信開始!(一部ストア様にて予約受付中!)

本文お試し読み

一.行きたかったのは、こういう異世界じゃなくって……!

「よっ……し」
 人気のないオフィスのパソコンの前で、あかりは小さくガッツポーズした。
(終わった! 今月の締め作業ッッ!!)
 くぁ~っと伸びをしたあと、スマホで時間をチェックする。
(よかったぁ……! 残業にはなっちゃったけど、これで間に合う!!)
 ――ずっと楽しみにしていた、推しの配信時間に!
 あかりはすぐさまパソコンの電源を落として、帰り支度を始めた。バッグを抱えて経理室の電気を消し、ドアを開けて出ていこうとしたそのとき――
「わっ」
 あかりはすばやく後ろに下がった。ドアが向こう側から開いたのだ。
「あ~、ごめんごめん、大丈夫?」
 経理室に入ってきたのは、この会社の営業部に所属する、松下《まつした》であった。まだ若手であるにも関わらず――営業成績は上位で、常に誰かに囲まれている。茶色い髪に、明るい笑顔。気さくだがちょっと押しの強い、いうなれば『チャラい』雰囲気。
 あかりは少し、彼のことが苦手だった。
 愛想は良いが、彼からは隠しきれない『強者』の匂いがして、陰キャを自認するあかりはそれが少し、苦手なのだった。
「はい、どうしたんですか」
 もしかして、もしかして。あかりは内心嫌な予感がしていたが、果たしてその予感は当たった。
「うん、今月分の請求書、まだ出し忘れてたのがあってさぁ」
 あかりは内心叫んだ。
(う、嘘でしょ~~っ! 今月の締め、今終わらせたと思ったのにぃ!)
 かなりの締め切り破りである。あかりは渋い顔で受け取りつつ、言った。
「もう期日、過ぎていますよ。今月分の入金は、だいぶ前に終わらせましたから……来月に回すことになりますが」
 すると松下はあかりの前で手を合わせた。
「そこをなんとか、頼むよーっ! 入金遅れると、現場の作業がストップしちゃうからさぁ!」
 それはあなたのミスでしょ! とあかりは思ったが、もちろん顔には出せない。
(……暗に、私がここでやらなきゃ、他にも迷惑かかるぞ、って脅してるのね)
 にこにこ笑顔で、断れないようにして要求を押し付けてくる。営業的手口なのかもしれないが、この強引さはあかりの苦手とするところだった。
 そりゃあ、普段であれば受け取ってそのまま残業パート二に入る。
 けど今日は。
(うぅ……くくりんのファンクラブ会員限定プレミアム配信……が……)
 あかりの推し、女神系バーチャルアイドルくくりんはめったに会員限定の配信をしてくれない。直接お話できる貴重な機会だった。
(が……仕方ない)
 これも悲しき社会人の務め。あかりは溜息をつきたいのをこらえて、松下が差し出すファイルを受け取った。
「わかりました。あとは私がやっておきますので」
 すると松下はにっこりとわかりやすく笑顔になった。
「ごめんねぇ、えっと、大野《おおの》ちゃん! ありがとう!」
 一目みて作り笑いとわかる、ザ・営業マン的な笑顔だった。
(もういいからさっさと帰ってほしい……)
「もしかして、何か予定とかあったりした? 今度何かお詫びさせてよ」
 あかりからしたらとっても大事な予定があったのだが、そんなことをこの人に言っても仕方ない。内心の毒づきとは裏腹に、あかりは困り笑いでこたえた。
「いえ、ないですし、大丈夫です。仕事なので……」
 だからもう帰ってくれ。と思ったそのとき、もうひとり男がやってきた。松下の眉が不機嫌そうに下がる。
「武田《たけだ》じゃん、こんな時間にどうしたの」
 入ってきたのは、松下と同じ、営業部の武田であった。
 松下とは正反対の、後ろにビシッとなでつけた黒髪に、細身の黒スーツ、整った顔は、いつも冷たい無表情だ。
 松下とともに常に営業成績は上位だが、『冷徹王子』なんて女性社員からあだ名されるほど、人を寄せ付けない雰囲気を放っていた。あかりは彼のことも、内心少し苦手に思っていた。
「ま、おつかれー」
 松下がへらへらしながら武田に声をかける。が、武田は一瞥しただけで、あかりに書類ファイルを差し出した。
「請求書だ、よろしく」
 あかりは慌てて日付を見た。
「えっ、かなりギリギリですが」
 こちらも今日作業しないと間に合わない。困るあかりを、武田は上から冷たく見下ろした。
「それが君の仕事だろう」
 文句があるなら、言ってみろ。と言わんばかりの顔にさすがにカチンときたが、もう言い返す気力もなく、肩を落として言った。
 こういう人なのだ。言い返したってしょうがない。
(仕事。仕事なのよ。この人だってきっと、今帰社したばかりで忙しいんだから、しょうがない)
 皆余裕がないのだ。ここであかりがピリピリしたって、一銭の得にもならない。そう思ったあかりはいっそにっこり笑って言った。
「大丈夫ですよ。皆さんお忙しいのはわかっていますので」

(――つづきのお試し読みは各ストア様をご覧ください!)

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