「……あなたは僕の自制心を、唯一揺らす女性だ」
あらすじ
「……あなたは僕の自制心を、唯一揺らす女性だ」
閨経験豊富で、男を惑わす『男たらしの悪女』と噂される王宮図書員のジェシカ。そんな彼女に舞い込んだのは、伯爵家出身で絶世の美男子、近衛騎士隊長リオネイルの童貞卒業を手伝うという、とんでもない依頼だった。しかし、実際のジェシカは真面目な本の虫であり、れっきとした処女。触れたこともない『アレ』を臨戦態勢にして、さらには『抜かせろ』だなんて……そんなの、絶対に無理だと思っていた。けれど――「なぜ、私のほうが下になってるの?」童貞とは到底思えないぎらぎらとした劣情。予想外のぐいぐいっぷりに、彼女の思い描いていた展開は覆されていく。リオネイルの気遣うような、それでいてどこか余裕すら感じさせる表情に、ジェシカは悟る――彼に“食べられてしまう”のだと。
作品情報
作:百門一新
絵:笹原亜美
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1/6(月)ピッコマ様にて先行配信開始!(一部ストア様にて予約受付中!)
本文お試し読み
プロローグ こんなR展開は予想していなかった
夜の王宮は静まり返っている。
警備の出歩きのない軍区はとくに人の気配がなく、そよぐ風に草葉が揺れる音まで聞こえていた。
だが鳳凰の棟、その最上階には、大きなイベントもないのに珍しく宿泊に使用されている部屋があった。
静かな薄暗い廊下には、扉の隙間から薄っすらと明かりがもれている。
そこからは男の声だけでなく――艶っぽい女性の喘ぎ声が上がっていた。
「あんっ、あぁ……っ、あっ、んぅ……っ」
ジェシカは今、目の前の光景が現実のものとは思えないでいる。
目の前には自分の指示に従い、ベッドに横たわっている見目麗しい男性がいた。
彼女の両手は彼の騎士として鍛えられた腹筋についていて、汗ばんだそこに自分の金髪がかかって揺れているのが見える。
彼のズボンから膨らんだ劣情を取り出し、またがっているのが――彼女だ。
スカートから伸びた彼女の太腿を抱え、彼――二十八歳の近衛騎士隊長リオネイルが、下からじゅぶじゅぶと突き上げていた。
「あっあっ、ああだめ、はげ、しっ」
嬌声が、止まらない。
初めて聞く自分の鼻にかかった行為の声にも、ジェシカは羞恥が止まらなかった。
(本来なら私が、この童貞隊長様をリードするはずだったのにどうして)
どうにか自分のペースを取り戻したいとは思っているのだが、初めて感じる快感は、ジェシカの自由を奪うくらい強烈だった。
「このほうが、お互い気持ちいいでしょう?」
――そんなわけないでしょ!
なんて、今夜初めて顔を合わせた見目麗しい近衛騎士隊長様に言えるはずもない。
男と遊び慣れていて経験豊富と噂され、王宮図書室に勤務している〝男たらしの悪女〟であるジェシカに、とある依頼があった。
脱童貞。その相手というのが、この近衛騎士隊長様だ。
(そこからしていろいろと間違えているのよっ)
ジェシカだって二十三歳だが、処女だった。それなのに脱童貞させろというのは、かなりの無茶ぶりだ。
(またがっているのも、死ぬほど恥ずかしいのに)
そもそもどうして、彼が自分から動いて突き上げているのか分からない。
ジェシカは気持ちがよくなってしまって、怖いくらい身体は快感を求めている。
「ジェシカ、キスがしたいです」
腰を振りながら、リオネイルが喘ぎ声と共に言ってきた。
「顔が遠いので、近づけてくれませんか?」
「あんっ、ン、キスは、だめって言ったじゃないですか」
「しかし」
あなたは脱童貞に集中してください、とジェシカは思う。
きつい、早く終わりたい。痛みはだいぶ引いてくれているが、お腹に入った大きな熱量が苦しかった。
(始めは『キスをしない』ことを了承していたのに、どうして今になって急にキスなんて?)
考えるものの、思考は熱に溶けていく。
「そのほうがあなたの――を――緩和できるかと」
よく、聞こえない。
するとリオネイルが、不意に起き上がった。彼の顔がぐんっと迫る。
「ふぇっ?」
次の瞬間、気づくとジェシカのほうがベッドに横たわっていた。
「こちらの体勢のほうがあなたに負担はないかと」
上になった彼が、腰を揺らしながら気遣わしげに覗き込んでくる。ジェシカが何もできないまま、リオネイルは強弱と角度を変えながら突き上げる。
「あぁ、あっ、あぁん」
中をぐちゅぐちゅにかき回されて、腰も頭も甘く痺れた。
――下から動かれた時と同じだ。
(初めてなのよね? 初めてのはずよね!?)
どうして、こうなっているのか。
「あっ、だめっ」
ふと彼がある一点を突いた時、ジェシカは奥がぞわっと快感でおかしくなる感じがした。
身体がぞくぞくと甘く痺れる。その感覚を逃がそうとしたら、リオネイルが「ここですね」と言って、そこを優しく何度も押し上げてくる。
「んやぁっ、ああぁ、あっ、ン、んぁっ」
「気持ちいいですか?」
「あぁっ、ああだめ、気持ちいい、だめなのっ」
「何もだめではないですよ」
美しい顔が近づく。
あっ、とジェシカが思った時には、彼の唇で口を塞がれていた。
官能でうまく動かせないでいる口を、やすやすと彼にこじあけられて舌同士をくすぐり合わされる。
(キス、気持ちいい……)
初めてなのに、彼に誘われて舌を絡めにいってしまう。
そうしていると、突き上げられている隘路へのきつさが心なしか和らぐのを感じた。
(なんで私、童貞騎士隊長様にキスされてるの?)
分からない。彼のものを自分の中に押し込んだ時は痛いとしか思わなかったのに、初めてのこの行為が気持ちよくて、もう目の前のことしか考えられない。
キスでいよいよ官能が高まる。リオネイルの動きも激しさを増した。
(あっ、あ、きちゃう)
そう思った時、快感が奥で弾けた。ジェシカは腰がびくびくんっと高くはね上がり、キスをしていられない。
「んああああぁっ」
達して中が苦しいほど締まる。
リオネイルが「くっ」と呻き、ジェシカの腰を強く抱き寄せた。
(あっ、だめ、中には――)
一瞬ヒヤッとした直後、中の圧迫感がなくなった。
「あ……」
リオネイルが腰をぶるっと震わせるのが伝わってきた時、ジェシカは二人の間にどろっとした熱がほとばしるのを感じた。
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