「――言っただろ、俺を頼れって」
あらすじ
「――言っただろ、俺を頼れって」
なにかにつけて口喧嘩ばかりの若きエース、バディの魔術師リディアと騎士団員レオナルド。軽口を叩きつつ、リディアは彼へ密かな恋心を抱いていた。本当は大好きなのに素直になれない……もどかしい日常のなか、彼女は任務中に遭遇した小悪魔(インプ)に思わず一瞬の隙を見せ魔力を封印されてしまう。しかも、小悪魔の正体は淫魔(アルプ)。突然発現した強力な淫紋の効果で甘い疼きが止まらない!!『性交をすれば淫紋が消える』書物を読んで頭を抱えたリディアのもとへ、なぜかレオナルドが淫紋解消の協力を申し出て――両片想いな2人の甘美なときめき快感ラブ!
作品情報
作:小日向江麻
絵:紺子ゆきめ
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本文お試し読み
プロローグ
「レオナルドっ……私、もう、耐えられないっ……」
彼の部屋に着くなり、私は自分の力で立っていることができなくなった。膝から崩れ落ちるようにその場にしゃがみ込む。
「リディ、もう大丈夫だ――いつも通り、楽にするからな」
「っ、ふぁ……」
耳元でそう囁きながら髪を撫でるレオナルドの所作が、労わるようで優しい。私は下肢に留まる強烈な感覚に抗いながら、私と視線を合わせるように膝をついた彼の顔を見つめる。
美しい金髪に凛々しい眉、スッと通った鼻筋、そして紅玉《ルビー》を思わせる赤い瞳。いつ見ても彼は惚れ惚れするほどカッコいい。見慣れているのに、それでも目を奪われてしまうほど。
「掴まって」
力が入らない私の手を取って立ち上がらせたあと、レオナルドが私を寝台に誘導する。
ほんの少し前までは、騎士寮にある彼の部屋を訪れることすら考えられなかったのに。自分ではどうにもできない、激しい衝動に悩まされるたびに、この場所で鎮めてもらうのが習慣になりつつある。
「よくここまで我慢したな。偉いぞ」
「ん、む……ふ、ぅっ……」
レオナルドに抱き寄せられ、キスをされる。
彼の舌がすぐに私のそれを捉えると、頭のなかが甘く痺れて思考が停止してしまう。そして、彼と触れ合うことで強張る上体が、少しずつ弛緩していった。
「ふ、あ……レオ、ナルド……」
やがて唇が離れていく。口のなかをまさぐられるのがこんなにも心地よいと教えてくれたのは彼だ。後ろ髪を引かれる思いで彼の名を呼んだ。
「お願い……ここ、気持ちよくしてぇ……」
自ら求めるだなんてはしたない。わかっていても、湧き上がる欲求を抑えることができなかった。私は彼の手を取ると、胸の膨らみに導いた。
――気持ちよくしてほしい。いつもみたいに、あなたの手で、唇で。
「そういうおねだり、めちゃくちゃそそられる」
こちらを見つめる赤い双眸が細められた。私の存在が彼を高ぶらせているのだと思うと、それだけで下肢が切なく疼く。
身にまとうシックな紫色のローブは王宮魔術師団の制服。下着のシュミーズとともに脱がされると、火照った身体が外気に晒されて心地いい。
「ぁあっ――!」
汗ばむ乳房の片方を、レオナルドの手のひらがそっと包み込む。膨らみと呼ぶには少々控えめなボリュームだけれど、触れられた瞬間、背中にぞくぞくと官能的な刺激が走る。
「すごい声。リディに触れるたびに、どんどん感度がよくなっていってるみたいだ」
とっさにこぼれた嬌声を聞きつけ、彼が喉奥を鳴らしながら笑った。自分でも、思ったより大きな声を出してしまった――と恥ずかしくなる。
「か――感心っ……してないでよっ……!」
私はわざと口を尖らせた。幾度経験しても、痴態を見られる羞恥が薄れることはない。
「そうだな。まずはリディを満足させないと」
「あっ、あっ……!」
彼はそう言って私の胸元に顔を埋めると、ピンと勃った頂を食み、軽く吸い立てた。私はか細い声で啼きながら、淡く滲み出る快感を享受する。
一方を舌先で弄ぶとき、もう一方は指先で転がしたり、摘んだり。その間も、唇からは媚びた声がこぼれ落ちてしまう。
仕上げとばかりに左右の膨らみを吸い立て赤い痕を付けると、レオナルドの片手がウエストを撫でながら下腹部に降りていく。そしてドロワーズを脱がせたあと、恥毛に覆われた秘部に到達する。
「ひぁっ……!」
「今日は特にぐちゃぐちゃだ。かなり我慢してた?」
その場所は、自分でもわかるくらいに愛蜜で濡れそぼっていた。水でも零したみたいなその様子を見て、彼もかつてなく高ぶっていることに気付いたらしい。
「だ、だったら、どうなの」
「バカだな。すぐに俺のところに来ればよかったのに」
「んくっ……休みなのに……っは……毎回毎回、レオナルドを当てにするわけにもっ……」
むしろなぜそうしなかったと言わんばかりの彼は、蜜に濡れた薄い茂みを撫でながら問うた。
休日、身体がおかしくなるたびに彼を頼っては申しわけないし、やっぱり恥ずかしい。そういう気持ちが、彼を訪ねるのを躊躇させていた。
「俺を当てにしないで誰を当てにするって言うんだよ。他のヤツに打ち明けたのか?」
「で……できるわけ、ないっ……」
考えるまでもなく首を横に振る。
「そうだよな、こんな恥ずかしいこと。……それに、リディの立場的にもヤバい」
「っ……」
彼が口のなかでつぶやくように言った言葉が、胸にぐさっと突き刺さった。
……そうだ。このままの状態が続いたら、私は――
「そんな顔するな」
よほど憂悶して見えたのだろう。レオナルドの声が優しくなる。
「――言っただろ、俺を頼れって。リディのことは俺が助ける」
「レオナルド……」
心強い台詞に胸がいっぱいになった。
彼の真摯な眼差しを受け止めると、一瞬、理性が砕けそうになるほどの強い疼きをも忘れ、その存在感のある赤々とした瞳に吸い込まれそうになる。
彼がそう言ってくれるなら、本当になんとかなるのかもしれない。ここしばらくの間、心に居座り続ける不安が、ほんの少しだけ薄らいだ。
「……気安く呼ばないでよ。いつも言ってるのに……」
寄り添おうとする彼にときめいているくせに感謝の気持ちを素直に表現できない。私は視線を外しながら、照れ隠しのように強がって言った。
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